HANDMADE LURE

TOPWATER FISHING & ARTWORK

釣り人は地獄に堕ちるのかもしれない。
バス釣りにハマったパンクロック好きな14歳の少年の頭にふとよぎる。

俺がやってんのは命をもて遊ぶ行為なんじゃないか。人間に故郷から攫われ、勝手に異国に放たれ、生態系の問題にされて…続けていいものなのか。

そんな折、とあるペンシルベイトで覚えたてのドッグウォーク中にトップウォーターにおける初バイトを貰う。
水面が割れて飛沫が上がり、まだ薄暗い湖面に「ボゴォォッ!」と轟音が響く。

パニック。脳ミソが揺れる。
バクバクした心臓はその後もおさまらなかった。

釣れなかったのに帰り道も静かな高揚感があとを引いた。
木陰に差し込む木漏れ日、聞こえてくる鳥の囀り…全てが愛おしく、美しく見え、その時間と空間に心捕らわれた。
この最初の出来事が日々を戦っていた少年の心を救った。

ある日、その少年は雑誌の特集に衝撃を受ける。TOPWATER御三家が使っていた竿・リール・ルアー…このカッコ良さは一体…また脳ミソが激しく揺れた。



少年の脳内は金ピカになった。

 「こんなカッコいい道具で釣りがしたい、トップウォータープラグを俺も作りたい」

 水面でルアーを扱うからこそ音や動きを際限なく楽しめる反面、トップウォーターは難しい釣りである。
思い通りの位置や音でルアーを着水させるキャスト術、擬似餌に魂を込めるロッドワーク…熟練するほどに上達するが、先は長い。それはスポ魂よろしく、少年のうまくなりたい精神に火を付けた。

それでも多くは釣れなくて。これは自己満足かもしれないけど、魚達の命に少しは優しいのかな…。

出会えた魚への感謝も、釣り場を大事にする気持ちも大きくなった。

釣れなくてもむちゃくちゃ1日が楽しい釣り。

理解できないと笑われるのは日常茶飯事だ。

食わないなら釣りすんな。

魚が可哀想。

「美しい釣り場も、トップに出てくれる魚も、俺は大好きなんだ。俺のスタイルだ。黙ってろ。」
  

初めてオリジナルルアーで釣り上げるのはそれから少し先になるが、68cmのナマズだった。ブラックバスでは48cm。

初期衝動から20数年、様々なカルチャーに影響を受けてなお変わらない金ピカの少年の心が込められたトップウォータールアー。

 

随分と刻が流れてしまったが、
「THE SMOKY BRAiNS」始めます。


 

KNT-LOW